憧れのセカイへ!
第五章 憧れのセカイへ
 季節は夏が過ぎ、爽やかな秋が来た。
 もうチームコンテストから二週間が経とうとしているなんて驚きだ。
 わたしと葵ちゃんは、ありがたいことにチームコンテストの優勝者として今まで以上に人気が出た。そのおかげでSolatioのラジオもできたし、お互いたくさんのお仕事がぎっしり詰まっている。
 梨央奈ちゃんたちユニークは惜しくも二位だったみたいで、そちらも人気が出ているみたいだ。
 人気が出たから体はヘトヘトだけど、光をもうすぐ掴めそうな気がしてきて、とても嬉しい。

 「はい、席についてー。今日は大事なお知らせがある!」

 「え、大事なお知らせってもしかして」

 「十月入ったし、そろそろだよね!?」

 みんなが言っているのはたぶん、天美学院一番の行事のことだろう。

 「そう。みんなが言ってる通り……トップコンテストのお知らせだ!」

 ついに来た、トップコンテスト……!
 もう目の前まで迫っているという事実が緊張してしまうけれど、少し楽しみな気持ちもある。

 「だが、これまでとは一つ違う点がある。それは、開催の時期が変わること」

 「時期?」

 「今までは毎年二月だったが、諸事情により、十二月末にやることになったんだ」

 わたしたちは目を丸くする。
 ……じゃあ、本来あと約五ヶ月あったはずが、もう約三ヶ月しかないってこと!?

 「そんな、どうしてですか?」

 「わたしたちまだ入学して半年も経ってないのに……」

 「それは申し訳ないが、落ち着け。驚くのも無理はない。だけどこれは諏訪光里が決めたことなんだ」

 その瞬間、心臓が飛び跳ねた。
 ……わたしは、あのチームコンテストのとき、光里さんの話を聞いてしまった。それは光里さんが天美学院を辞めるか悩んでいるということ。
 あれから二週間経つけど、光里さんはどうするんだろうか。このトップコンテストの時期を早めたのも、それに関係しているのかな。

 「光里さんが決めたってことは、何か事情があるんですか?」

 「先生は知ってるんですよね、教えてください!」

 みんなが光里さんのことを知りたいらしく、近藤先生に質問攻めをする。
 だけど先生は申し訳なさそうに首を横に振った。

 「……先生も、あまり諏訪の考えを知らない。ただ、諏訪がこのほうがいいと思って決めたことなんだ」

 きっと近藤先生は何か隠しているのだろう。
 でも光里さんの考えを、たくさんの生徒にそんな簡単に言ってはいけないんだろうな。

 「まぁ、そういうことだから、許してあげてくれ。トップコンテストで表彰されるのは、五位まで。その順位に入れるように、または諏訪を越えることができるように、みんな頑張れ!」

 「はい!」

 ホームルームが終わり、わたしは仕事へ向かう。
 今日は雑誌の取材がある。アイドル界では有名な雑誌で、小さいけれど記事を取り上げてくれることになった。
 それはSolatioとしてだから、葵ちゃんと一緒だ。

 「月川さん、奥谷さん、本日はよろしくお願いします」

 「こちらこそ、よろしくお願いします」

 「早速ですが、チームコンテストに優勝することができた、奥谷さんのお気持ちを聞かせてください」

 「そうですね。まだ夢みたいに嬉しいです。のぞみとはぶつかったり、離れてしまうこともあったけど、絆を深めて頑張ってきて良かったなと心から思います」

 インタビューに答えている葵ちゃんは、とても生き生きとしていた。

 「それでは最後に、お二人の次の目標を教えていただけますか?」

 「はい。わたし、奥谷葵の次の目標は、トップコンテストでトップになることです! 難しいとは思いますが、チームコンテストで優勝したからには、トップコンテストでもトップになりたいです」

 「それはすごい目標ですね。月川さんは?」

 「はい、わたしは……憧れた光を掴むことです。一生かかるかもしれない。それでも光に追いつきたいんです。その夢を叶えるために、わたしはアイドルになりましたから」

 それがわたしの今の目標。これからも、それは変わらない。
 憧れた光を掴むには、あとどれくらいかかるだろう。一生かかってもいい、その夢を叶えるまで、わたしは光を追い続けるから。

 「お二人とも、素敵なお話を聞かせてくださってありがとうございました。インタビューはこれにて終了になります。お疲れ様でした」

 「お疲れ様でした!」

 ふー、終わった。
 一息ついていたら、隣に葵ちゃんが座ってきた。

 「のぞみ、お疲れ様。あのさ、チームコンテストのとき、何か考え事してたじゃない? もしかして今もそのこと考えてる?」

 「え……葵ちゃん、何で分かったの!?」

 「うーん、なんとなくかな。何か大切なものを見つけようとしてるんだろうなって」

 わたしは頷いた。
 光里さんのために、わたしにできることはないか何度も考えた。でも、こんなわたしに何ができるんだろう。それに光里さんの迷惑になりたくはない。
 そう思うと、何もできない自分が情けなかった。

 「大丈夫だよ、のぞみ」

 「えっ?」

 「のぞみはいっつも前だけを見てきた。もちろん挫折することはあったけど、それも含めて全て正解だったじゃない。だから自分を信じてやればきっと大丈夫だよ」

 「葵ちゃん……ありがとう。本音を言うと、ちょっと怖いんだ。もしこれが不正解だったらって思うと怖気づいちゃうの。でも、やりたいと思う気持ちがあれば大丈夫だよね。自分を信じてみる!」

 葵ちゃんのおかげで、またひとつ、大切なことに気づかされた。
 何があっても、自分自身を信じてあげなければいけないということに。

 「のぞみならきっと大丈夫だってわたしも信じてるよ。トップコンテストまであと三ヶ月もないけど、頑張ろう」

 「うん、頑張ろうね」

 トップコンテストまでに、光里さんと話をしてみよう。
 少しでも光里さんの役に立てることがあるのなら、わたしは何でもやりたいから。
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