クロとシロと、時々ギン

むかし歩いた道(2)

 思い出を探しに来たなんて、センチメンタルに浸っているみたいで恥ずかしくて言えない。
 考えあぐねた末、無難な言葉を返すことにした。

「私の実家、この近くなんですよ。暇つぶしに散歩してたら、考え事をしてしまって。気づいたらここに着いてました」

 私の答えを聞いたシロ先輩は、なぜか驚いた顔をする。しかしすぐにフッと笑った。
 その反応の意味が分からず戸惑っている私の頭にポンッと手を置くと、シロ先輩は歩き出した。

「俺も付き合ってやるよ。その暇つぶし」

 シロ先輩は返事も待たずにズンズンと歩いていく。
 私は慌てて後を追いかけた。

「どこへ行くんですか?」

 私の問いかけに、シロ先輩は当たり前のように答えた。

「神社にいるんだ。まずはお参りだろ」

 静まり返った空気の中、私たちは賽銭箱の前に立ち、それぞれ小銭を投げ入れる。パンッと柏手を打ち、目を閉じた。
 目を開けると、隣にいるはずのシロ先輩の姿がない。キョロキョロと周りを見回すと、少し離れたところで空を見上げていた。
 私は小走りでそちらへ向かう。少し息を切らしながら駆け寄った私を見て、シロ先輩は苦笑いを浮かべた。

「何慌ててるんだ?」
「だって、置いて行かれたと思って」

 そう言うと、「バーカ」と言って頭をクシャクシャと撫でられる。
 私はムッとして口を尖らせた。

「もう、またそうやって髪を乱す!」

 私の機嫌が悪くなったことに気づいたのか、シロ先輩はバツが悪そうに手を離した。
 私は乱れた髪を整える。
 シロ先輩が「悪りぃ」と小さく謝った。
 シュンとしてしまったシロ先輩の様子に、私は思わずクスッと笑う。
 途端に、シロ先輩の眉間にシワが寄った。

「何だよ」

 不貞腐れたように言われ、今度は堪えきれず声を出して笑ってしまった。
 
「いえ、何でもないです。いいですか、シロ先輩。昨日も言いましたけど、頭に手を置くときは、ポンポンですよ」
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