クロとシロと、時々ギン

永遠の誓い(15)

 まさかこんな展開になるなんて、今朝の私は思ってもいなかった。
 挙式のデモンストレーションとはいえ、完全に仕事モードでいたのに。

「クロ。好きだ」

 耳元で囁かれたシロ先輩の声が、頭の中で何度も反響する。
 身体中の血液が沸騰しているのではないかと思えるほど、身体中が熱い。
 ぶっきらぼうで、お世辞にも優しいとは言えない彼だけど、それでも互いの気持ちを確認し合ったあの日から、幾度かくれた言葉。
 しかし、今日のシロ先輩のそれはいつもと違っていた。
 熱っぽい声色で告げられたその言葉には、今までとは違った重みがある。
 シロ先輩は、返事を待つかのようにじっと私の顔を見つめている。
 私は恥ずかしくなって思わず顔を背けてしまった。
 すると、シロ先輩は少し寂しそうな声で呟いた。

「……俺じゃダメか?」

 私は慌ててシロ先輩に向き直る。
 シロ先輩は眉尻を下げて困ったような笑みを浮かべていた。その顔はどこか悲しげで、自嘲気味だ。
 私は、自分の態度がシロ先輩に誤解を与えたことに気づく。

(違う!)

 シロ先輩のことを嫌なわけがない。むしろ逆だ。
 大好きだからこそ、この状況は信じられないくらいに嬉しい。
 でも、突然すぎて心の準備ができていなかった。
 こういう時こそ落ち着かなければ。まずは、自分の気持ちを伝えよう。
 大きく深呼吸をする。
 私はシロ先輩の目をしっかり見た。そして、私の本心を精一杯込めた言葉を一言。

「ダメなわけない」

 私の答えに一瞬シロ先輩が固まる。
 それが次第に緩んでいき、頬を赤らめながらとろけそうな程に嬉しそうに笑った。

 こんなにも可愛らしい笑顔を見せてくれるなんて思わなかった。
 胸の奥がきゅんとなる。
 シロ先輩が愛おしくて堪らなかった。

「本当にいいのか?」

 私はゆっくりと首肯した。
 シロ先輩は私を引き寄せると、ぎゅっと抱き締める。
 私もシロ先輩の背中に腕を回して、力いっぱい抱きしめ返す。
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