優秀な後輩で私も嬉しく思うので、どうぞ『先輩離れ』してください
お風呂が沸いたアナウンスと共に、彼は静かに手を離した。ほのかに残る熱に気を取られたが、一ノ瀬君の言葉でハッとする。
「先輩、もし良かったら先にお風呂入っちゃってください。着替えは男物で良ければ新品の物を出しておきます」
「え、いいよ。さすがに家主より先に入るのは悪いって」
慌てて首を振るも、「先輩がお風呂入ってる間に夕飯を作っちゃうので」と言われてしまう。そう言われれば断れず、素直に言葉に甘えることにした。
浴室の説明を簡単にしてもらい、新品らしいのグレーのスウェット上下を手渡される。彼が着ればジャストサイズなのだろうが、私が着ると大きいことだろう。それでも新品を渡してくれる優しさに対して素直に感謝を伝えれば、彼は満足げに頷いてリビングに戻っていった。
静かに閉じられた扉を見送り、服を脱ぐ。決して変な意味ではないが、人様の家で服を脱ぐのは何とも言えない気持ちになる。申し訳なさというか、気恥ずかしさというか…。同性の家でも感じる感情なのだから、一ノ瀬君の家だと思うとさらに、
(ああ、もう!考えない!考えない!!!)
ごちゃごちゃとした思考を取り払うためにも、ぶんぶんと頭を振る。そして、若干緊張しながらお風呂場に入った。
説明を受けた通り、ボディーソープやシャンプー等を借りて洗う。その後湯舟に浸かるも、どうにものんびりしきれない。広いし温かいのだが、何とも言えない感情が邪魔をしてくる。
(やっぱりビジネスホテルとかに泊まった方がよかったかな)
それでも、タクシーに乗る乗らないの話をした時の一ノ瀬君の表情を思い出せば、断れないことは明白だった。きっと、今同じことを聞かれても断れないだろう。何だかんだ言って、推しに弱い自覚はある。
(苦手は苦手だけど、可愛い後輩には変わりないのよね)
そわそわとした気持ちを上手く処理できないまま、早々に上がることにした。
「……やっぱり大きい」
スウェットを着てみたが、どうにも裾が余ってしまう。首元が少しだけ心許ないのはまだしも、ズボンのウエストが大きすぎてずり落ちてくるのは勘弁したい。紐を引いてできるだけウエストを絞め、さらに裾を折って何とか着られるように工夫してみる。
ギリギリ出られる格好にまで仕上げ、ようやくリビングへと戻った。
「先輩、もし良かったら先にお風呂入っちゃってください。着替えは男物で良ければ新品の物を出しておきます」
「え、いいよ。さすがに家主より先に入るのは悪いって」
慌てて首を振るも、「先輩がお風呂入ってる間に夕飯を作っちゃうので」と言われてしまう。そう言われれば断れず、素直に言葉に甘えることにした。
浴室の説明を簡単にしてもらい、新品らしいのグレーのスウェット上下を手渡される。彼が着ればジャストサイズなのだろうが、私が着ると大きいことだろう。それでも新品を渡してくれる優しさに対して素直に感謝を伝えれば、彼は満足げに頷いてリビングに戻っていった。
静かに閉じられた扉を見送り、服を脱ぐ。決して変な意味ではないが、人様の家で服を脱ぐのは何とも言えない気持ちになる。申し訳なさというか、気恥ずかしさというか…。同性の家でも感じる感情なのだから、一ノ瀬君の家だと思うとさらに、
(ああ、もう!考えない!考えない!!!)
ごちゃごちゃとした思考を取り払うためにも、ぶんぶんと頭を振る。そして、若干緊張しながらお風呂場に入った。
説明を受けた通り、ボディーソープやシャンプー等を借りて洗う。その後湯舟に浸かるも、どうにものんびりしきれない。広いし温かいのだが、何とも言えない感情が邪魔をしてくる。
(やっぱりビジネスホテルとかに泊まった方がよかったかな)
それでも、タクシーに乗る乗らないの話をした時の一ノ瀬君の表情を思い出せば、断れないことは明白だった。きっと、今同じことを聞かれても断れないだろう。何だかんだ言って、推しに弱い自覚はある。
(苦手は苦手だけど、可愛い後輩には変わりないのよね)
そわそわとした気持ちを上手く処理できないまま、早々に上がることにした。
「……やっぱり大きい」
スウェットを着てみたが、どうにも裾が余ってしまう。首元が少しだけ心許ないのはまだしも、ズボンのウエストが大きすぎてずり落ちてくるのは勘弁したい。紐を引いてできるだけウエストを絞め、さらに裾を折って何とか着られるように工夫してみる。
ギリギリ出られる格好にまで仕上げ、ようやくリビングへと戻った。