優秀な後輩で私も嬉しく思うので、どうぞ『先輩離れ』してください
「ありがとね」
「いえ」
改めて感謝を伝えると、一ノ瀬君は真面目な顔で私が借りている服を見てきた。その目があまりにも無感情で、何か不都合な部分があったのだろうかと気にしてしまう。
「スウェット、やっぱり変?」
「逆ですよ。スウェット姿の先輩が意外と馴染んでるな~と思って見てました」
彼はそう言うなり、遠慮なく私の方へ体を寄せてソファーに座ってきた。わずかに伏せられたまつ毛が、彼の整った横顔をより一層男らしく見せていた。
先ほどあんなことを言ったからか、変に顔の良さを意識してしまう。
「ちょ、」
ふわりと、石鹸のような香りが鼻先をくすぐった。 昼間のオフィスでは決して踏み越えられない、物理的な距離。彼の大きな手が私の頬を掠めるようにして、耳にかかった髪をそっと直した。
その指先の熱に、心臓が跳ねてしまう。生娘のような反応をしてしまう自分に恥ずかしくなり思わず顔を上げると、濃く視線が絡み合う。その沈黙さえも甘いものへと変質していくのを肌で感じた。
彼がゆっくりと顔を近づけてくる。その行為を、なぜか拒むことができない。
(ま、って、)
唇に触れる熱を覚悟した、その瞬間__
「…なんて、冗談です」
拍子抜けするほど明るい声がして、パッと気配が離れる。驚いて目を開けると、一ノ瀬君はクスクスと上品に笑っていた。
「いえ」
改めて感謝を伝えると、一ノ瀬君は真面目な顔で私が借りている服を見てきた。その目があまりにも無感情で、何か不都合な部分があったのだろうかと気にしてしまう。
「スウェット、やっぱり変?」
「逆ですよ。スウェット姿の先輩が意外と馴染んでるな~と思って見てました」
彼はそう言うなり、遠慮なく私の方へ体を寄せてソファーに座ってきた。わずかに伏せられたまつ毛が、彼の整った横顔をより一層男らしく見せていた。
先ほどあんなことを言ったからか、変に顔の良さを意識してしまう。
「ちょ、」
ふわりと、石鹸のような香りが鼻先をくすぐった。 昼間のオフィスでは決して踏み越えられない、物理的な距離。彼の大きな手が私の頬を掠めるようにして、耳にかかった髪をそっと直した。
その指先の熱に、心臓が跳ねてしまう。生娘のような反応をしてしまう自分に恥ずかしくなり思わず顔を上げると、濃く視線が絡み合う。その沈黙さえも甘いものへと変質していくのを肌で感じた。
彼がゆっくりと顔を近づけてくる。その行為を、なぜか拒むことができない。
(ま、って、)
唇に触れる熱を覚悟した、その瞬間__
「…なんて、冗談です」
拍子抜けするほど明るい声がして、パッと気配が離れる。驚いて目を開けると、一ノ瀬君はクスクスと上品に笑っていた。