優秀な後輩で私も嬉しく思うので、どうぞ『先輩離れ』してください
 会議が終わった後、一ノ瀬君は誰かに呼ばれているらしく、挨拶を残して早々に部屋を退室した。私も資料やパソコンをまとめて退出しようとした時、メンバーのヒソヒソ声が聞こえてくる。普段は気にならないのだが、なぜかこの時ばかりは気になってしまった。

「リーダーとサブリーダーの2人、息合いすぎじゃないですか?」
「あっ!やっぱり思った?」
「良かったー…。そう思ってるの私だけかと思いましたよ~。やっぱり気になりましたよね!?」
「白石さんの意図を一ノ瀬君が秒で理解して形にしてる感じ、見てて鳥肌立ったわ~!」
「仕事ができる人同士だと、あんなにもテキパキ進むんですね」

 そんな声と共に視線を感じるもあえて聞こえないふりを一貫した。聞こえていることがバレたら、間違いなくお互い気まずくなってしまうだろう。それだけは避けたい。次回以降の会議に甚大な影響が出てしまいかねない。

「そりゃそうよ。白石さんは一ノ瀬君の教育係だったんだもん」
「えっ!?そうだったんですか!?」

(ああ、余計なことを…)
 
 特段、一ノ瀬君の教育係だったことを隠しているわけではないが、わざわざ言うほどのことでもない。それでも、第三者の口から言われてしまうと何とも言い難い気まずさが加速する。
 これ以上は居たたまれないため、荷物を手早くまとめると早々に静かに会議室を出た。
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