優秀な後輩で私も嬉しく思うので、どうぞ『先輩離れ』してください
「「「「ええっ!?」」」」
絶句した私と周囲の歓声に近い叫び。一ノ瀬君はどちらも想定内だったのか、涼しい顔のまま私を見てどこか悪戯っぽく目を細めた。
「ほら、先輩。話はつけましたから、仕事に戻りましょう。そろそろ昼休憩が終わりますよ」
「ちょっと、一ノ瀬君!あんた、何てこと…!」
「先輩に隠していただけで事実です。嘘はついてませんよ」
佐藤さんたちは「きゃー、一ノ瀬くんて意外と肉食系なのね!」や「白石さん、頑張って!」と、すっかりお祝いモードでそれぞれの持ち場に戻っていった。
違う、そうじゃない。
誤解は解けたどころか、とんでもない方向に固定されてしまった。
嵐が去った後のような静けさの中、私は耳まで熱くなるのを感じながら拳を握りしめた。
ふと、自席に戻らない彼の存在に違和感を感じて見上げると、
「嘘じゃなければ、否定のしようもありませんもんね」
その言葉に、私は叫び出したい衝動に駆られた。でも、それを表に出すわけにはいかない。寸前で堪えた衝動を乗せ、全力で彼を睨みつけたのだった。