優秀な後輩で私も嬉しく思うので、どうぞ『先輩離れ』してください
オフィスに足を踏み入れた瞬間、私は意識的に背筋を伸ばす。
自席について今日のスケジュールを確認すると、そこには『役員報告会』の文字。ここ数カ月で、最も重要な会議だ。現状のプロジェクトの進捗を上層部に報告し、今後の方針について承認を得る。そのためには、メンバーの努力を惜しまず伝える必要がある。
そしてこの会議は、リーダーである自分1人で臨まなければならない。それが何よりも緊張を加速させていた。
(ふー…大丈夫。私ならできる)
小さく息を吐き、胸の奥の緊張を押し込めた。
朝から張りつめている空気を察したのか、この日、一ノ瀬君は何も声をかけてこなかった。ただ、いつも通りの距離で静かに見守ってくれていた。
午前10時。
大会議室で行われた役員報告会は、これまでにないほどスムーズに進行していた。
「……以上のデータに基づき、プロモーションの第1弾を来月に設定します」
私が説明を終えると、最前列に座る常務が満足げに頷いた。
「素晴らしい。短期間で、ここまで精度の高い戦略をまとめ上げるとは。白石くん、君をリーダーに据えたのは正解だったよ」
「ありがとうございます」
真っ直ぐに向けられた称賛に、胸の奥がじんわりと熱くなる。
努力が認められる。その瞬間だけが、私の20代を支えてきた唯一の報酬だった。
やがて会議室に拍手が広がっていく。
その音を全身で受け止めながら、私はもう一度、深く頭を下げた。
自席について今日のスケジュールを確認すると、そこには『役員報告会』の文字。ここ数カ月で、最も重要な会議だ。現状のプロジェクトの進捗を上層部に報告し、今後の方針について承認を得る。そのためには、メンバーの努力を惜しまず伝える必要がある。
そしてこの会議は、リーダーである自分1人で臨まなければならない。それが何よりも緊張を加速させていた。
(ふー…大丈夫。私ならできる)
小さく息を吐き、胸の奥の緊張を押し込めた。
朝から張りつめている空気を察したのか、この日、一ノ瀬君は何も声をかけてこなかった。ただ、いつも通りの距離で静かに見守ってくれていた。
午前10時。
大会議室で行われた役員報告会は、これまでにないほどスムーズに進行していた。
「……以上のデータに基づき、プロモーションの第1弾を来月に設定します」
私が説明を終えると、最前列に座る常務が満足げに頷いた。
「素晴らしい。短期間で、ここまで精度の高い戦略をまとめ上げるとは。白石くん、君をリーダーに据えたのは正解だったよ」
「ありがとうございます」
真っ直ぐに向けられた称賛に、胸の奥がじんわりと熱くなる。
努力が認められる。その瞬間だけが、私の20代を支えてきた唯一の報酬だった。
やがて会議室に拍手が広がっていく。
その音を全身で受け止めながら、私はもう一度、深く頭を下げた。