優秀な後輩で私も嬉しく思うので、どうぞ『先輩離れ』してください
 お粥を食べ終えたころには、体の奥に少しだけ力が戻ってきていた。空になった器を見下ろしながら、小さく息を吐く。

「ごちそうさまでした」
「ちゃんと全部食べましたね。偉いです」

 子ども扱いのような言い方に、思わず苦笑する。一ノ瀬くんは器を受け取ると、そのままキッチンへ持っていった。水の流れる音がして、ほどなくして戻ってくる。そして、ベッドの端に腰掛けたままの私を見下ろした。

「? どうしたの?」
「先輩、汗かいてません?」
「え?あ、確かにかいてるかも」

 言われてみれば、首筋や背中がじっとりしている気がする。熱が下がりきっていないせいか、体が少し火照っていた。

「動けそうなら、お風呂入ります?」
「え、いいの?」
「もちろんです。さっぱりした方が楽でしょう」

 その言葉に少し迷ったが、確かにこのままでは落ち着かない。遠慮がちに口を開く。

「……じゃあ、貸してもらってもいい?」
「いいですよ」

 あっさりと頷いたあと、彼は少しだけ首を傾げた。

「じゃあ、一緒に入りましょうか」
「なっ!?」

 一気に顔が熱くなる。

「何言ってんの!?」

 思わず声を上げると、一ノ瀬くんはきょとんとした顔をした。
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