優秀な後輩で私も嬉しく思うので、どうぞ『先輩離れ』してください
「先輩、先にベッド行きましょうか」
その言葉に力なく首を振る。
「大丈夫よ。支えが無くても歩けるから」
「『大丈夫』は大丈夫じゃない人の台詞です」
そのまま半ば強引に手を取られる。そのまま寝室へ連れていかれ、ベッドに座らされた。
「今日はもう寝てください」
「えー」
「えー、じゃないです。体も休息を求めているんですから、寝れなくても横になってください」
言われた通り布団に入ると、体が一気に重くなる。一ノ瀬くんは部屋の電気を暗くして、立ち上がる。
「僕はソファーで寝ますね」
「え?」
思わず顔を見つめる。すると、一ノ瀬君は私の反応に首を傾げた。
「成人男性の1人暮らしの家にベッドは2つもありませんよ。先輩はそのまま使ってください。前の時もそうでしたが、僕はソファーでも寝れるタイプなので」
さらりと言われてしまう。配慮が伝わる反面、なぜか胸の奥がキュッと縮む。
「何かあったらすぐ来られますから。スマホでも何でも連絡してください」
その言葉と共に、パタリと扉を閉められた。