優秀な後輩で私も嬉しく思うので、どうぞ『先輩離れ』してください

「先輩、先にベッド行きましょうか」

 その言葉に力なく首を振る。

「大丈夫よ。支えが無くても歩けるから」
「『大丈夫』は大丈夫じゃない人の台詞です」

 そのまま半ば強引に手を取られる。そのまま寝室へ連れていかれ、ベッドに座らされた。

「今日はもう寝てください」
「えー」
「えー、じゃないです。体も休息を求めているんですから、寝れなくても横になってください」

 言われた通り布団に入ると、体が一気に重くなる。一ノ瀬くんは部屋の電気を暗くして、立ち上がる。

「僕はソファーで寝ますね」
「え?」

 思わず顔を見つめる。すると、一ノ瀬君は私の反応に首を傾げた。

「成人男性の1人暮らしの家にベッドは2つもありませんよ。先輩はそのまま使ってください。前の時もそうでしたが、僕はソファーでも寝れるタイプなので」

 さらりと言われてしまう。配慮が伝わる反面、なぜか胸の奥がキュッと縮む。

「何かあったらすぐ来られますから。スマホでも何でも連絡してください」

 その言葉と共に、パタリと扉を閉められた。
 
< 69 / 71 >

この作品をシェア

pagetop