あおいくん、付き合って!
 ほんの一瞬、日向葵と目が合った。

 いつから俺のことを見つめていたのだろう。

 さりげなく、でも真顔でじっとこちらに視線を注いでいたあいつの表情が、太陽に向かって咲く向日葵のようにふっとほころぶ。

 あれ? 今、俺に向かって笑った?

 なぜだ? 俺の見間違いか? ……って、考えたけどやっぱり気のせいだろうな。

 だって、俺たちは今年同じクラスになってから、会話どころか挨拶すらしたことがない。

 一度も関わったことのない地味な俺に、クラスの中心にいるあいつがあんな満面の笑顔を向けるなんて、天地がひっくり返ってもあり得ない。

 そう、日向葵と俺は住む世界が違うんだ。あいつの眼中に俺がいないのは当たり前のことだ。

 大きなお城に住む王子様の目に、自分の国のはずれで暮らしている一平民の顔が、まったく映っていないように。

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