一日の終わり、恋の始まり。
雪が弱まった頃、彼がカップを置いた。
ふとスマホを見ると、
うんともすんとも言わなかった
タクシーアプリがようやく反応した。
二人で、
「お」
と、顔を見合わせる。
けれど、確保できたのは一台だけだった。
少しだけ迷ってから、
今度は私の方から声をかけた。
「……一緒に、乗っていきませんか?」
彼は一瞬、
助かる、という顔をしかけてから、
ふっと目を逸らした。
「初対面の男と二人でタクシーって……大丈夫ですか?」
心配そうにこちらをうかがうその表情に、
私は思わず笑ってしまう。
「お互い、疲れてますし。早く帰れるなら、帰って寝ましょ」
少しだけ肩をすくめて、続けた。
「このあと、またタクシー捕まるかも分からないですし」
私のことは気にしないで、
というつもりで笑うと
彼は少し考えて、柔らかく微笑んだ。
「……じゃあ、お言葉に甘えて」
そうして私たちは、
並んでタクシー乗り場へ向かった。