あの娘と私

嫉妬

 「ねえ、涼。今日田村さんと何か話してなかった? なんの話だったの?」

 嫉妬しているとは悟られたくない。重い女だと思われてしまう。さりげなく訊いてみたつもりだったが、涼にはお見通しだったようだ。


 「何? 嫉妬してんの? 泰子」
 「べ、別に。してないよ?」
 「どれどれ顔を見せてごらん」

 涼は私のややむくれた顔を見て、朗らかに笑った。
 「ふ! そうかそうか、嫉妬してるのか。可愛い奴だ」
 こんなとき、涼には敵わないと思ってしまう。

 「田村さんには、泰子と仲がいいねって言われただけだよ?」

 どきりとした。そんな風に見えたのだろうか?

 「な、なんて答えたの?」
 「付き合っているのは内緒にするって泰子が言ってただろ? だから趣味が一緒なんだって答えといたよ」
 「そう」
 自分で決めたことなのに、なんとなく消化不良な気持ちになる自分が嫌になる。相手が田村さんだから不安にもなる。

 でも、こんな地味で内弁慶な私と付き合っていると、涼が社員に思われるのが嫌だった。涼の評判が下がる気がして。どこまでも後ろ向きな自分。ダメね。

 「何? その顔。付き合ってるって言ったほうがよかった?」
 私はその問いに困った顔をするしかなかった。
 「嫉妬するってことは、泰子は自己肯定感が低いんだろうな。俺は泰子がいいって言ってるのに」
 「だって、どうして私なんかって思っちゃうんだもん」
 「謙虚でいいけど、そんなこと思わなくていいよ? 大丈夫」
 涼の言葉に思わず涼に抱き着いた私を、涼はよしよしと受け止めてくれた。

 そうだよね、大丈夫だよね。涼を信じないと。
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