アンコールはリビングで
(……来年の夏は、こんなふうに遊ぶのも、もう厳しいかもしれねぇな)

揺れる水面を見つめながら、俺はふと、ここ最近の自分を取り巻く状況の急激な変化について思考を巡らせていた。

俺のファーストアルバムの収録曲が、予想以上のスピードで世間に広まり、SNSを中心にバズり始めている。

その影響は音楽だけにとどまらず、先日、ある有名なジュエリーブランドから『イメージモデルをしてほしい』というオファーが舞い込んだのだ。

人生初のモデルの仕事。

カメラの前でポーズを取り、その写真が雑誌に載った途端、返ってきた反応は、俺が思っていたものとは違った。

『何このかっこいい人!?』

『早瀬湊ってミュージシャンなの? モデルかと思った』

そんな声がネット上で少しばかり騒がれ、そのおかげで俺の音楽を聴いてくれる層も目に見えて増えた。

結果として知名度が上がったのだから、プロモーションとしては大成功だ。

だが、一人のミュージシャンとして、どこか複雑な思いがあるのも事実だった。

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