アンコールはリビングで
(……顔から入られてるうちは、まだ実力足らずなんだよな。もっと、音楽そのもので黙らせるくらい頑張らねぇと)

音楽の神様に愛されるためには、まだまだ努力が足りない。

けれど、このまま顔と音楽の両方で知名度が上がっていけば、来年の今頃には、いくら貸し切りとはいえ、こうして国内のプールで遊ぶことすら難しくなっているだろう。

完全なプライベート空間を確保するには、海外のプライベートヴィラでも借りるしかなくなるかもしれない。

(……いや。それくらい売れててほしいわ。凪に、世界中の極上の景色を見せてやれるくらいに)

上を目指す気持ちは俺の野心だが、その願いの行き着く先にはいつも凪がいる。

どんなに環境が変わっても、絶対に俺の隣にいてほしい。

そのために、俺は誰にも文句を言わせないだけの圧倒的な地位を築き上げるのだ。

「……湊」

不意に、カーテンの向こうから、俺の名前を呼ぶ声がした。

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