アンコールはリビングで
俺は、声を出さずに天を仰いだ。

(……マジか。可愛すぎだろ、それ)

料理も、掃除も、空間デザインの仕事も、なんだって器用に完璧にこなす自慢の彼女。

そんな凪が。

こんな、誰でもできそうなリボン結びが、後ろだとできないなんて。

しかも、それが理由でいつも前結びのエプロンを選んでいたなんて。

俺だけが知る、不器用で愛おしすぎる秘密。

胸の奥がギュンッと熱くなり、今すぐこの背中に抱きついて、そのうなじに噛みつきたくなる衝動をグッと堪える。

< 1,007 / 1,077 >

この作品をシェア

pagetop