アンコールはリビングで
「……そうだよな。カクテルを頼む店なんて、それこそ付き合った日に行った『Midnight Blue』以来じゃねぇ?」

俺もモヒートをあおりながら、一年半前のホワイトデーの夜に思いを飛ばした。

生演奏のジャズが流れる店で食事をして、二人が出会ったガレリアプラザで、俺から告白をしたあの夜。

凪がそれに応えてくれて、俺の人生が完全にひっくり返った日。

「あの日俺たちが飲んでたカクテル、覚えてるか?」

俺が不意に尋ねると、凪は「うーん……」と小首を傾げ、記憶を辿るように視線を宙に彷徨わせた。

「名前とかは思い出せないけど……確か、白っぽい美味しいカクテルだったかなぁ、私のは……」

「そう。凪のは『ホワイト・レディ』」

俺はグラスについた水滴を指でなぞりながら、ふと、ずっと胸に秘めていた種明かしをすることにした。

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