アンコールはリビングで
「み、湊……ほんと、昨日からどうしちゃったの……? あのカクテル……なんか変なもの入ってた……?」

私は布団の中から上目遣いで彼を睨み、あまりの甘さに耐えきれず、ついそんなことを聞いてしまった。

すると、湊はくすくすと笑い声を漏らした。

「何? この俺だと、調子狂うって? ……心外だな。俺はいつだって、凪を甘やかしたいんだわ」

そう言いながら、私を抱き寄せた彼の大きな手が、布団の中に滑り込んでくる。

そして、何も着ていない私の素肌の背中を、手のひらでゆっくりと、熱を確かめるように撫で下ろした。

(……やっぱり、甘すぎて湊じゃないみたい……)

私が動揺して固まっていると、湊はそのまま顔を近づけ、今度は私の頬に、啄むような優しいキスを何度も何度も落としてきた。

チュッ、ちゅ……と、小鳥のような軽いキス。

朝の清々しい光。

ホテルの上質で真っ白なシーツ。

そして、その中で私に優しくキスをしてくれる、息を呑むほど美しい恋人。

まるで、お洒落なフランス映画のワンシーンに紛れ込んでしまったのかと錯覚するほど、ロマンチックで完璧な朝だった。

私はすっかりどきまぎしてしまい、彼のされるがままに、その優しいキスの雨を受け入れていた。

< 1,034 / 1,077 >

この作品をシェア

pagetop