アンコールはリビングで
……とはいえ、いざ実行に移そうとすると、これがなかなか難しい。

いい歳をした大人が、休日の朝からソファに寝転がったまま『お腹すいた』とねだる。

頭の中で一度シミュレーションしてみただけで、羞恥心で耳の後ろがじわりと熱くなった。

(……やっぱり無理。普通に起きて、普通に手伝おう)

そう思って身体を起こしかけた時。

火曜の夜、湊に言われたことを思い出した。

『俺の前でくらい我慢すんな』

あの時の湊は、呆れているのでも茶化しているのでもなく、本気で怒っていた。

私が遠慮をするたび、彼はいつも見逃さずに、ちゃんと怒ってくれるのだ。

(……よし)

私は起こしかけた身体をもう一度ソファに沈み込ませると、クッションに顔を半分埋めたまま、思い切って声を出した。

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