アンコールはリビングで
「……湊ー、お腹すいたー」

自分でも驚くくらい、甘ったるくて、間延びした声が出た。

言ってしまってから、心臓がうるさいくらいにドクドクと鳴っているのに気がつく。

「おー。今作ってっからよ」

キッチンから返ってきたのは、少し呆れたような、けれどどこか弾んだ声だ。

怒られなかった。

それどころか、オムライスのフライパンを振っていたあの水曜日の夜と、まったく同じ機嫌のいい響きだった。

(……いける、かも)

だから今日は、休日の特権として、思いきり甘えてみることに決めた。

キッチンから漂ってくる、お出汁のいい香りに誘われるようにして、私はのっそりとソファから身体を起こした。

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