アンコールはリビングで
「……ほら、あーん」

「えっ、」

「今日はそういう日なんだろ? 食わせてやるよ」

私の『今日はとことん甘える』という目論見を見透かしたような、少し意地悪な俺様スマイル。

不意打ちの行動に、一瞬、いつもの私が顔を出しかける。

恥ずかしい、みっともない、大人なのに、自分で食べられるのに。

けれど今日は、そんな聞き分けのいい自分に蓋をすると決めたのだ。

私はわざとらしく彼を上目遣いで見つめ返し、差し出されたスプーンを、ぱくりと口に含んだ。

冷たい水切りヨーグルトの濃厚な酸味と、桃の甘さと、はちみつのコクが口いっぱいに広がる。

「……ん、美味しい。ありがとう、湊」

唇を少しぺろりと舐めながら、にこっと無邪気に微笑んでみせる。

「……っ、」

途端に。

余裕ぶっていた湊は分かりやすく言葉を詰まらせ、バッと勢いよく顔を逸らした。

そっぽを向いた横顔、その耳の先が、ポッと真っ赤に染まるのが見えた。

(……ふふ、やっぱり私の勝ち)

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