アンコールはリビングで
「いいじゃない、たまには。……嫌だった?」

「……嫌なんて一言も言ってねぇだろ。ほら、こっち座れ」

湊は自分の足の間にスペースを作り、そこへ私を座らせた。

ブォォォ、とドライヤーの温かい風が後頭部に当たる。

ギターの弦を押さえる、大きく骨ばった綺麗な指が、私の濡れた髪をすくうように優しく梳いていく。

少し無骨で、けれど絶対に私を傷つけないその指の感触が、私は大好きだった。

「……熱くないか?」

「うん、ちょうどいい。……湊の手、すごく気持ちいい」

「……そりゃどうも。凪の髪、柔らかくてすぐ絡まるから、これでも地味に気ぃ使ってんだぞ」

「ふふっ。……たまに湊が『乾かしてやる』って言ってくれてたときも、そんなこと考えててくれたんだ?」

「毎回だよ。……わざわざ言わねぇだけ」

ぶっきらぼうな返事なのに、髪をすくう指はさっきよりもさらに丁寧になっていた。

私は目を閉じ、彼の体温と心地よい温風に身を委ねる。

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