アンコールはリビングで
思い返せば、湊はいつもそうだった。

休みの日に私がリビングでストレッチをしていれば、「そろそろ俺を構えよ」と上から覆いかぶさってきて、充電が切れたと言って重たい身体をどかそうとしない。

夕飯のメニューを聞けば、「もち麦は勘弁な。今日は白米が食いてぇ」と注文をつけてくる。

結局私は「はいはい」と呆れながら笑って、大きな身体を抱きとめたり、リクエスト通りに白米を炊いたりしてきたのだ。

愛する人を自分のペースに巻き込んで、遠慮なく寄りかかる。

そうしてちゃんと支えてもらえるたびに、自分がどれほど深く想われているのかを確かめて、安心する。

(……なるほど)

私は、背後から私を抱きしめる逞しい腕にすっかり体重を預けながら、心の中でひっそりと微笑んだ。

(……湊が普段俺様してるのって、こんな感じなのか)

自分のワガママを許してもらって、相手の愛情を独り占めにする、この満ち足りた感じ。

出会ってからずっと、天邪鬼な言葉や強引な態度の裏で彼が味わっていたものを、今朝やっと、ほんの少しだけ分かった気がした。

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