アンコールはリビングで
「……ふふ、くすぐったいよ、湊」

「……凪の指、細ぇんだな」

いつもの悪態でも、照れ隠しの憎まれ口でもない、妙に静かな声だった。

「そう? 湊の手が大きすぎるだけだと思うけどな」

「……かもな」

そう言うと、湊は私の両手をまとめて、自分の手のひらの中にすっぽりと包み込んでしまった。

その温もりが、指先からじわじわと伝わってくる。

外から、車が一台ゆっくりと通り過ぎていく音がした。

朝ごはんには遅くて、お昼にはまだ早い。

休みの日にしかない、まどろむような半端な時間。

明日の日曜日は、理紗への結婚祝いの贈り物を選ぶために、二人で出かける約束をしている。

だから今日くらいは、一日中こうして、甘やかされたままダラダラ過ごしたっていいはずだ。

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