アンコールはリビングで

53 隣を歩く日曜日

1. 夏の街と、ワガママの探し方

日曜日。

梅雨明けの空は抜けるように青く、アスファルトからは夏の匂いがむわっと立ち上っていた。

最寄り駅から電車を乗り継ぎ、私たちは都内の少し落ち着いた街の通りを歩いていた。

休日の喧騒の中、私の少し前を歩く湊は、黒い無地のキャップを目深に被り、マスクで顔の下半分を隠し、シンプルな白のオーバーサイズTシャツに色落ちしたデニムというラフな格好をしている。

顔はほとんど見えないけれど、長身で肩幅が広く、どこか人目を引く空気をまとっているせいで、すれ違う人が時折ハッとして振り返る。

けれど、湊はそんな視線には微塵も気づいていないかのように、私の歩幅に合わせてゆっくりと歩いてくれていた。

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