アンコールはリビングで
「これ、仕事中、髪まとめる時とかに使えそうじゃね?」

彼の手のひらには、クリアなガラスに金箔が少しだけあしらわれた、涼しげで上品なバレッタが乗っていた。

光を透かすそのデザインは、仕事でかっちりとした服装をする時にも、今日のような休日のワンピースにもよく似合いそうだった。

「わ、綺麗……! うん、すごく使いやすそう」

「だろ。ちょっとじっとしてて」

湊は私の背後に回り込むと、肩に流れていた私の髪を大きな手でざっくりとまとめ、そのバレッタを飾るように、そっと髪に当ててみせた。

店内の小さな鏡に映る自分を見ると、ガラスの透明感が雰囲気をパッと明るくしてくれていた。

「うん、絶対似合うわ」

「……ほんとだ。すごく素敵」

鏡越しにうっとりと眺めたものの、添えられた値札の数字がふと目に入り、私は小さく息を吸い込んだ。

ここ最近は、奮発して彼の誕生日プレゼントを買ったり、彼のツアーグッズを爆買いしたりと、何かと出費が重なっていたのだ。

これから理紗への結婚祝いの器も買うし、私個人の買い物はちょっと我慢しよう。

< 1,063 / 1,077 >

この作品をシェア

pagetop