アンコールはリビングで
4. 隠れ家カフェと、ひとくちの合図

太陽が少し西に傾き始めた頃。

私たちは歩き疲れた足を休めるため、通りから一本入った地下にある、小さな隠れ家のような喫茶店に入った。

静かなジャズが流れる店内は、アンティークランプの薄暗い照明だけが灯っており、落ち着いた空間だった。

案内されたのは、フロアの奥にある、背の高いベルベットのソファで囲まれたボックス席。

半個室のようになっているおかげで、他の客の視線はまったく気にならない。

「あー……外、やっぱあちぃな」

湊は私と向かい合うように深くソファに腰を下ろすと、ようやく目深に被っていたキャップとマスクを外し、乱れた前髪を無造作にかき上げた。

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