アンコールはリビングで
「お疲れさま、湊。付き合ってくれてありがとうね」

テーブルの上には、私が頼んだアイスティーと、湊が頼んだアイスコーヒー、そしてホイップクリームを添えた濃厚なチーズケーキが置かれている。

湊は長い足をテーブルの下で投げ出すようにして座り、早速チーズケーキにフォークを入れた。

「ん、うまっ。……あー、糖分染みるわ」

嬉しそうに目を細めてケーキを頬張る彼を見ていると、私の心の中に、またあの小さな「甘えたい」という感情がむくむくと顔を出し始めた。

(……この席なら、誰にも見られないし)

私はグラスについた水滴を指でなぞりながら、少しだけ俯いて、自分の中で言葉を転がした。

「……ねえ、湊」

「ん?」

ケーキを飲み込んだ湊が、琥珀色の瞳で私を真っ直ぐに見つめてくる。

「あのさ……」

私はためらいながら、テーブルの下で自分の指先をきゅっと握りしめた。

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