アンコールはリビングで
「そういやさ」

一息ついた彼が、ポケットからごそごそと何かを取り出した。

それは、小さな紙袋。

「ん。これ」

「え……?」

テーブル越しに差し出されたそれを受け取り、中を覗き込んで、私は思わず小さく声を上げた。

中に入っていたのは、さっきのお店で湊が見つけてくれた、あのガラスのバレッタだった。

「これ……悩んでたやつ……」

「凪が一輪挿し吟味してる間にな。……出費がどうとか言って、我慢してたろ」

湊はアイスコーヒーのストローを咥えながら、照れくさそうに視線を逸らした。

遠慮しているのを察して、私が気づかないうちにこっそり買ってくれていたのだ。

「……ありがとう、湊。すごく嬉しい」

「おう。……ちょっと貸して」

湊は私からバレッタを受け取ると、席を立って私の隣へ回り込んだ。

大きな両手が私の髪をざっくりとすくい上げると、パチン、と手際よくバレッタで留めてくれる。

「……うん、やっぱすげぇ似合ってる」

私のうなじのあたりに彼の指がすっと触れ、そのまま髪を整えるように優しく撫でられる。

彼の体温と、どこまでも甘やかされているという実感に包まれて、私は今日何度目か分からないくらい、胸の奥が熱くなるのを感じていた。

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