アンコールはリビングで
5. 茶色い恋心

そこからは怒涛の撤収作業だ。

機材を片付け、全員で下山し、ロケバスで着替える。
身体中の筋肉が悲鳴を上げているが、それを悟られないよう、俺は最後まで笑顔を崩さなかった。

「お疲れ様でした! 本当に今日はありがとうございました!」

新谷さんやスタッフ一人一人に頭を下げ、労いの言葉をかける。
全員を見送り、ようやく島崎さんの待つミニバンに乗り込んだ頃には、すっかり夜も深まっていた。

「……はぁ」

シートに沈み込むように座ると、どっと疲れが押し寄せてきた。
島崎さんが気遣うようにバックミラー越しに俺を見る。

「さすがの早瀬くんも、今日の撮影はハード過ぎたよね。本当にお疲れ様。明日は休みにしてあるから、よく休んでね」

「あ、ああ。ほんと、今日のは過去一過酷でしたね。ツアーのための筋トレしてて、マジでよかった……って思いましたよ(笑) 良い映像が撮れてたらいいんすけど」

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