アンコールはリビングで
Demo Tape 1 武装したエリート
1. 喝采とノイズ
今から七年前。
俺が社会に出て、まだ間もない春の頃のことだ。
大手デベロッパー、白井不動産の本社オフィス。その真新しいフロアで、俺は「期待の新人」という名のスポットライトを浴びていた。
慶應義塾大学経済学部卒。学生時代からの留学経験で英語は堪能。そして、誰もが振り返る容姿。
入社式のあの日から、周囲の視線が好意的な熱を帯びているのを肌で感じていた。
「早瀬くん、この後の歓迎会、もちろん来るよね?」
「早瀬くんって彼女いるの? 週末とか何してるの?」
先輩社員や同期の女子たちからの誘いは、ひっきりなしにあった。
最初の数週間こそ、社会人としての礼儀で愛想笑いを浮かべていたが、すぐに俺はその「無駄」に耐えられなくなった。
「すみません。今日は読み込みたい資料があるので」
「週末は先約があって。失礼します」
定時を過ぎれば、俺は誰よりも早くデスクを片付け、冷淡なほど簡潔に断りを入れてオフィスを出る。
誘いを断ったその足で向かうのは、華やかな飲み屋街ではなく、埃っぽいスタジオや、自宅の狭い防音室だ。
今から七年前。
俺が社会に出て、まだ間もない春の頃のことだ。
大手デベロッパー、白井不動産の本社オフィス。その真新しいフロアで、俺は「期待の新人」という名のスポットライトを浴びていた。
慶應義塾大学経済学部卒。学生時代からの留学経験で英語は堪能。そして、誰もが振り返る容姿。
入社式のあの日から、周囲の視線が好意的な熱を帯びているのを肌で感じていた。
「早瀬くん、この後の歓迎会、もちろん来るよね?」
「早瀬くんって彼女いるの? 週末とか何してるの?」
先輩社員や同期の女子たちからの誘いは、ひっきりなしにあった。
最初の数週間こそ、社会人としての礼儀で愛想笑いを浮かべていたが、すぐに俺はその「無駄」に耐えられなくなった。
「すみません。今日は読み込みたい資料があるので」
「週末は先約があって。失礼します」
定時を過ぎれば、俺は誰よりも早くデスクを片付け、冷淡なほど簡潔に断りを入れてオフィスを出る。
誘いを断ったその足で向かうのは、華やかな飲み屋街ではなく、埃っぽいスタジオや、自宅の狭い防音室だ。