アンコールはリビングで
俺にとって、会社での人間関係は二の次だった。

飲み会で上司の機嫌を取る時間があるなら、ワンフレーズでも歌詞を書きたい。二日酔いで頭を痛める時間があるなら、新しいコード進行を探したい。

そんな態度を続けていれば、当然、周囲の反応は変わっていく。
入社して一年が過ぎる頃には、好意的な熱は冷ややかな陰口へと変貌していた。

「あいつ、付き合い悪いよな」

「仕事はできるけど、なんか人間味がないっていうか」

「ロボットみたい」

遠巻きに眺められるアイドル的な視線は、やがて腫れ物を触るような視線へ。

だが、それでよかった。
孤独になればなるほど、俺の時間は増える。誰にも邪魔されず、音楽に没頭できる。

そう思っていた。

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