アンコールはリビングで

Demo Tape 2 非常階段のリバーブ

1. 深夜の共犯者

息を切らせて駆けつけた「ガレリアプラザ」のメインスクエアは、異様な緊張感に包まれていた。

頭上には、吹き抜けの天井まで伸びる巨大な柱。そこに施されたラッピング装飾が、テスト点灯された暖色のライトを浴びて、鈍く濁った色を晒している。

「……ひどいな」

俺は思わず呟いた。

シャンパンゴールドの上品な輝きになるはずが、これではまるで泥を塗ったようだ。明後日の内覧会でこれを見せれば、オーナーの怒りは頂点に達するだろう。
俺は覚悟を決めて、現場の中心へと歩を進めた。

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