アンコールはリビングで

Blueprint 2 鉄の鎧と夜の残響

1. 第一印象は「完璧な王子」

今から6年前の春。私が社会人4年目に差し掛かった頃のことだ。

大手印刷会社、大亜印刷「空間ブランディング部門」に所属する私は、いくつかの現場ディレクションを任されるようになり、仕事が一番面白い時期を迎えていた。

そんなある日、営業部がコンペで勝ち取ってきた、都内の大規模商業施設「ガレリアプラザ」のリニューアルに伴う、空間ブランディングの案件が私のデスクに舞い込んできた。

建物のリノベーションに合わせて、柱のラッピングや壁面グラフィック、案内サインなどを一新し、空間のイメージを刷新するという大規模なプロジェクトだ。

4年目の私も、施設の花形である「メインスクエア」の装飾担当として制作チームのディレクターに指名された。

「仕事と俺、どっちが大事なの?」と聞いてくる彼氏も、もういない。
今の私は無敵だ。どれだけ残業してもデートの心配はないし、誰に気兼ねすることなく、がむしゃらに仕事に没頭できる。

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