アンコールはリビングで
「実はあの夜、内覧会の後に別の現場でトラブルがあって、そっちに駆り出されてたんです。でも、どうしても早瀬さんのライブが見たくて……現場監督の目を盗んで、こっそり抜け出して来ちゃいました」
彼女は「内緒ですよ?」と口元に人差し指を立てて、いたずらっぽく微笑んだ。
「……!」
仕事に厳しいはずの彼女が。
トラブル対応という緊急事態の最中に。
俺の歌を聴くためだけに、リスクを冒して抜け出してきたと言うのか。
(……マジかよ)
じわじわと込み上げてくる喜びを噛み締める。
彼女の中で、俺の歌が「仕事」よりも優先された瞬間があった。
それだけで、救われた気がした。
「……ありがとうございます。本当に、嬉しいです」
「ふふ。今日また聴けてよかったです。やっぱり、ここに来て正解でした」
ひとしきりライブの感想や仕事の愚痴で盛り上がった後、ふと会話が途切れた。
今だ。今しかない。
俺は心臓の音を悟られないように、震える手でスマホを取り出した。
彼女は「内緒ですよ?」と口元に人差し指を立てて、いたずらっぽく微笑んだ。
「……!」
仕事に厳しいはずの彼女が。
トラブル対応という緊急事態の最中に。
俺の歌を聴くためだけに、リスクを冒して抜け出してきたと言うのか。
(……マジかよ)
じわじわと込み上げてくる喜びを噛み締める。
彼女の中で、俺の歌が「仕事」よりも優先された瞬間があった。
それだけで、救われた気がした。
「……ありがとうございます。本当に、嬉しいです」
「ふふ。今日また聴けてよかったです。やっぱり、ここに来て正解でした」
ひとしきりライブの感想や仕事の愚痴で盛り上がった後、ふと会話が途切れた。
今だ。今しかない。
俺は心臓の音を悟られないように、震える手でスマホを取り出した。