アンコールはリビングで
「……連絡先、教えてもらってもいいっすか?」

勢いのまま切り出す。

断られたらどうしよう、なんて考える余裕もなかった。

「あ、いや、嫌だったら、全然気にせず断ってくれていいんで……」

「……へ? なんで嫌なんですか?」

彼女はきょとんとした顔をした後、満面の笑みを浮かべた。

「むしろ私の方こそ、聞きたいと思ってたんですよ! いつ路上ライブしてるかも分からなかったし……これで、いつでもライブの感想送れます!」

そう言ってスマホを差し出す彼女の笑顔が、街灯の下でキラキラと輝いて見えた。

無事にメッセージアプリで繋がり、「友だち追加」の通知が鳴る。

(……やった!)

心の中でガッツポーズを決めた瞬間、胸の奥がきゅん、と音を立てて締め付けられた。

(……は? きゅん、って何だよ。俺らしくもない)

戸惑っていると、彼女が興奮気味に身を乗り出してきた。

「あの……早瀬さん、晩御飯とかまだですか? もしよかったらなんですけど、この後ご飯とか行きません? 私、もう話し足りなくて!」

俺は心の中で二度目のガッツポーズをした。

相当嬉しい。顔がニヤけそうになるのを必死で抑え、俺は努めてクールな声を作った。

「あー……俺も仕事終わってすぐここ来たんで、晩メシまだっすね。……何食い行きます?」

今日は金曜日。
終電まで、たっぷりと彼女と話せる。

俺はギターケースを背負い直しながら、足取り軽く彼女の隣を歩き出した。

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