アンコールはリビングで
「……ふざけんなよ」

ボソリと呟いた声は、地の底から響くように低く、ドス黒かった。

「俺がちょっと目ぇ離した隙に……人が嫌がってんの見りゃわかんだろ……クソが」

「湊……?」

「俺の凪に声かけやがって……。次やったら、タダじゃおかねぇ」

カップを持つ手に力が入り、紙コップが歪んでいる。

彼の横顔には、テレビやステージでは絶対に見せない、生々しい「男」の嫉妬と独占欲が張り付いていた。
普段は「皆様のおかげです」と微笑む彼だが、本性はこうなのだ。

「湊、大丈夫?」

私が恐る恐る袖を引くと、彼はハッと我に返った。
殺気立っていた瞳が揺らぎ、見る見るうちに眉が下がっていく。

「あ……わりぃ、怖かったか? 大丈夫か?」
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