アンコールはリビングで
6. 決意のホワイトデーへ

家に帰り、俺はもらったチョコの箱を机の上に置いた。

高級なパッケージ。
いくつもの本命チョコをもらっていた学生時代よりも、何倍も、何十倍も嬉しい。

「……はぁ」

ベッドに倒れ込み、天井を見上げる。

今日の彼女の様子を反芻する。
彼女のいないか確認した時の、あの焦り方。
俺の言葉に、少し頬を染めた表情。

そして、「早瀬くんの歌みたい」という殺し文句。

(……しっかりしろ俺。これ多分、義理チョコ+αだぞ)

ただの推しのインディーズミュージシャンへの、ちょっと豪華な差し入れかもしれない。

いや、チョコくらい贈るか……?
いやでも、あの反応は……。

俺の頭の中で、高校生のような自問自答が繰り返される。
合理的で冷酷な俺、早瀬湊はどこへやら。

完全に恋の病だ。

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