アンコールはリビングで
3. 深夜の寝言

ある日の深夜。
仕事とプロモーション準備で限界を迎えていた俺は、凪さんと電話をしていた。

声を聞くだけで、張り詰めていた神経が緩んでいく。
強烈な睡魔が襲ってきた。

『……早瀬くん? もしかして眠い? もう遅いし、切ろうか』

「やだ」

即答だった。

俺はスマホを耳に押し当て、子供のように駄々をこねた。

「……まだ切っちゃダメです」

『えっ、でも明日も早いんでしょ?』

「……凪さんの声聞いてると、なんか落ち着くんですよ……。だから、俺が寝落ちするまで繋げといてください」

『……もう、しょうがないなぁ』

呆れたような、でも優しい声が鼓膜を揺らす。
その心地よさに、俺の意識は急速に闇へと落ちていった。

薄れゆく意識の中で、俺は無意識に本音を漏らしていた。

「……ん……凪さん……」

『ん?』

「……すき……」

プツリと意識が途切れる直前、電話の向こうで凪さんが大きく息を呑む気配がした。

ああ、きっと今頃、顔を真っ赤にしてるんだろうな。

そんな想像を抱きながら、俺は泥のように眠りに落ちた。

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