アンコールはリビングで
4 充電と日曜日のソファ
1. ソファの上の巨大な障害物
日曜日の午前10時。
カーテン越しに柔らかな陽光が差し込むリビングは、平和そのものだった。
ただし、ソファの上を除いては。
「……湊、ちょっとどいて」
「やだ」
「掃除機かけたいんだけど」
「あとでいいだろ……」
私が声をかけると、ソファに同化していた巨大な物体が、モゾモゾと不満げに動いた。
昨日のバスケデートで久しぶりに体を動かした反動か、今日の湊は「一歩も家から出ない」と固く心に誓っているらしい。
例の3年モノの毛玉スウェット(グレー)に身を包み、ブランケットを頭から被り、完全に「休日のダメ人間」と化している。
「ここ、俺の巣だから。立ち入り禁止」
「はいはい。じゃあ巣の周りだけかけるから足上げて」
私が掃除機のノズルを向けると、彼は無言で長い脚をひょいと上げた。
ウィーン、というモーター音にも動じず、彼はスマホでゲームを続けている。
テレビの中では、彼が出演したCMが爽やかに流れているというのに、実物はこれだ。
(……同一人物とは到底思えない)
私は苦笑しながら、彼を避けて掃除を続けた。
そして、彼の顔の近く――ソファの背もたれ付近に手を伸ばした、その時だった。
日曜日の午前10時。
カーテン越しに柔らかな陽光が差し込むリビングは、平和そのものだった。
ただし、ソファの上を除いては。
「……湊、ちょっとどいて」
「やだ」
「掃除機かけたいんだけど」
「あとでいいだろ……」
私が声をかけると、ソファに同化していた巨大な物体が、モゾモゾと不満げに動いた。
昨日のバスケデートで久しぶりに体を動かした反動か、今日の湊は「一歩も家から出ない」と固く心に誓っているらしい。
例の3年モノの毛玉スウェット(グレー)に身を包み、ブランケットを頭から被り、完全に「休日のダメ人間」と化している。
「ここ、俺の巣だから。立ち入り禁止」
「はいはい。じゃあ巣の周りだけかけるから足上げて」
私が掃除機のノズルを向けると、彼は無言で長い脚をひょいと上げた。
ウィーン、というモーター音にも動じず、彼はスマホでゲームを続けている。
テレビの中では、彼が出演したCMが爽やかに流れているというのに、実物はこれだ。
(……同一人物とは到底思えない)
私は苦笑しながら、彼を避けて掃除を続けた。
そして、彼の顔の近く――ソファの背もたれ付近に手を伸ばした、その時だった。