アンコールはリビングで

Demo Tape 8 - Take 2 最重要対象への恒久的な愛の証明

4. 始まりの場所と、エレベーターの記憶

ジャズクラブの重厚な扉を出ると、3月の夜風が火照った頬に心地よかった。

俺たちは並んで歩き出す。
言葉は少ないが、確かな熱を帯びた空気が、二人の歩幅を優しく包み込んでいるのを感じていた。

しばらく歩いていると、ふと、隣の凪さんが小さく息を呑む気配がした。

「あれ……この道……」

彼女の視線の先にあるのは、見覚えのある巨大な複合施設。
俺たちは足を止め、その建物を真っ直ぐに見上げた。

「……ここって」

「はい」

俺は静かに頷いた。
そう、ここはガレリアプラザ。

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