アンコールはリビングで
6. イヤホン越しの記憶と、夜景に溶ける誓いのキス

***

(……早瀬、くん)

目の前に立つ彼の言葉が、ドクン、ドクンと耳の奥でうるさいくらいに鳴る私の心臓の音と混ざり合いながら、ゆっくりと染み込んでいく。

少しだけ震えている低い声。祈るような、真っ直ぐで誠実な眼差し。

ここ「ガレリアプラザ」で出会った当初の、生意気で、恐ろしく仕事ができて、隙がなかった『氷の王子様』からは想像もできないくらい、今の彼は一生懸命で、健気だった。

ありのままの、彼自身の心でぶつかってきてくれているのが分かって、視界がじわっと熱くなる。

いつから、彼に落ちていたのだろう。
明確な瞬間なんて、もう分からない。

この1年あまり、彼と過ごした時間はあまりにも濃すぎた。

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