アンコールはリビングで

15 記憶のリンクコーデ

1. 記憶の色と、玄関先のエスケープ

週末のオフを合わせた、2月末の土曜日。
雲ひとつない冬晴れの空の下、私たちは久しぶりにお出かけの準備をしていた。

ドラマの撮影やレコーディングが立て込んでいた湊にとって、丸一日空いたオフは本当に久しぶりだ。

寝室の全身鏡の前で、私は淡いラベンダー色の春物カーディガンに、ふわりと揺れるシフォンスカートを合わせた。
作り込みすぎない自然な清潔感を意識して、前髪を軽く整え、毛先をふんわりと内巻きにする。

窓から入り込む風はまだまだ冷たいけれど、アパレルショップのショーウィンドウはすっかり春模様に切り替わっているはずだ。

何よりこのラベンダー色は、ホワイトデー――彼からあの屋上庭園で告白された夜に、私が着ていたワンピースの色にそっくりだった。

(……よし、変じゃないよね)

少しだけ浮かれた気分でリップを塗り直し、寝室を出てリビングへと向かう。

すると、ちょうど洗面所から身支度を終えた湊が出てきたところだった。

< 255 / 486 >

この作品をシェア

pagetop