アンコールはリビングで
ペアルックじゃない、二人だけの記憶の色を纏った、秘密のリンクコーデ。

なんだか無性に嬉しくなってふふっと笑い合うと、湊がツカツカと歩み寄り、私の腰に長い腕を回して引き寄せた。

「ちょっ、湊……っ」

「……やっぱ、出かけるのやめねぇ?」

私の首筋にすっぽりと顔を埋め、彼が低く甘い声で囁く。
彼特有のウッディアンバーの香水と、洗い立ての髪の匂いがふわりと鼻をくすぐり、心臓がトクンと跳ねた。

「せっかく準備したのに、なんで?」

「だって、今日の凪、いつも以上に可愛すぎ。外の男に見せたくねぇ。……このままベッド戻ろ」

小柄な私の体重を軽々と支えながら、本気とも冗談ともつかないトーンで甘えてくる大型犬。

私は彼の広い背中に腕を回して軽くポンポンと叩き、クスッと笑った。

「だめー。今日はガレリアプラザに行くって決めたでしょ? ほら、行くよ」

「……ちぇっ」

不満げに唇を尖らせながらも、湊は大人しく私から離れ、玄関のドアを開けてくれた。

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