アンコールはリビングで

17 帰るべき場所

1. 完璧なソロタイム

ガレリアプラザでの甘い週末から数日。
私はいつものように、オフィスのデスクでPCと睨み合っていた。

春に向けた空間ブランディングの新規プロジェクトが動き出し、企画書の作成や各所との調整で、平日の業務は相変わらず目が回るほど忙しい。

それでも、心が折れそうになることはなかった。
家に帰れば、私を待っていてくれる――いや、お互いに支え合える、温かい場所があるからだ。

そんな、3月初めのある平日の夜。
私は、久しぶりに訪れた「一人きりの夜」の時間を、広々としたリビングでゆったりと満喫していた。

テレビには動画配信サイトを映し、最近気になっている腸内環境(腸内フローラ)とプレバイオティクスに関する最新研究の解説動画を流している。

その音声を聞き流しながら、念入りにスキンケアを済ませ、ヨガマットの上でじっくりとストレッチをして一日の疲れをほぐす。

体が温まったあとは、温かいハーブティーを淹れて、湊から借りていた『嘘つきAIと恋のバグ』のノベライズ版(2巻)を開いた。

自立した社会人として、一人の時間の潰し方なんていくらでも知っている。
元来、誰かに依存しなければ生きていけないタイプではないのだ。

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