アンコールはリビングで
2. 預けられたバトン

「……! 湊っ……大丈夫?」

ドアを開けると、微かなアルコールの匂いと共に、歩くのもやっとという状態の湊が目に飛び込んできた。

顔は真っ赤で、目はうつろだ。

「あ、島崎さん! お久しぶりです……ええと、、これ、完全に潰れてますね……?」

私が驚きつつ申し訳なさそうに声をかけると、島崎さんは苦笑しながら「こんばんは、凪さん。こんな時間に、こんな所まですみません」と頭を下げた。

「早瀬くん、打ち上げを解散して、私の車に乗るまではしっかり挨拶してたんですけど……車に乗ってドアが閉まった途端、緊張の糸が切れたみたいで……」

「とんでもないです! 島崎さんも、遅くまで本当に……」

私が恐縮していると、島崎さんは、自分の担当する『商品』を見る目ではなく、まるで手のかかる弟を見るような、優しくてどこか切なげな目で湊を見つめた。

「あ、こんなに潰れちゃいましたけど……明日、早瀬くんを怒らないであげてくださいね」

「え?」

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