アンコールはリビングで
3. 限界突破の大型犬

「う……んしょっ」

島崎さんを見送り、重い玄関ドアを閉める。

どさっと、湊の全体重が私にのしかかってきた。

「うわ……ほんとに大きい子どもじゃない……重い……私、一人で寝室まで運べるかな……」

玄関のたたきで、なんとか彼の靴を脱がせ、着ていたコートに手をかける。

すると。

「……ん……な、凪……?」

「あ、湊。起きた? ……大丈夫? どこまで記憶あるのかな……島崎さんが玄関まで送ってくれたんだよ?」

私が顔を覗き込みながら気遣うと、湊はトロンとした目で私を見つめ、ひゅっと息を吸い込んだ。

「……んー……そ、か……。最後に打ち上げの店出て、みんなに『お疲れ様でした』って頭下げたところまでは覚えてる……。島崎さんが迎えに来てくれて……車乗ったとこから……もう記憶ないわ……」

ぽつりぽつりと、普段の彼からは想像もできないような、舌足らずで甘えた声。

いつもは綺麗にセットされている髪もくしゃくしゃで、完全に『オフ』の早瀬湊だ。

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