アンコールはリビングで
4. 決壊する強がり
金曜日の夜。
夕食の後片付けをしながら、私はシンクに落ちる水を見つめていた。
この数日、明らかに湊への態度がぎこちなくなっている自覚があった。
(……私、嫌な女だな。湊は何にも悪くないのに)
自己嫌悪でふうっと深いため息をついた、その時だった。
背後から、不意に大きな体温が重なった。
「……っ、湊?」
私の腰に長い腕が回され、肩にすっぽりと彼の顎が乗せられる。
背中から伝わる彼の熱と、微かに香るウッディアンバーの落ち着く匂いに、身体がビクッと強張った。
「……凪」
耳元で囁かれた声は、ひどく真剣で、静かな熱を帯びていた。
「……なに? まだ洗い物、終わってないんだけど……」
「……こっち向いて」
彼が私の肩を掴み、強引に、けれど決して痛くない力で私を振り返らせた。
至近距離で、琥珀色の瞳が私を真っ直ぐに射抜く。
「……最近、おかしい。俺、凪を怒らせるようなことしたか?」
「え……」
「目も合わねぇし、触ろうとすると逃げるし。……俺、なんか無意識に傷つけること言ったなら、ちゃんと謝るから。……教えろよ……?」
彼の、本気で私を心配し、思い詰めたような顔を見た瞬間。
張り詰めていた私の心の糸が、プツン、と音を立てて切れた。
金曜日の夜。
夕食の後片付けをしながら、私はシンクに落ちる水を見つめていた。
この数日、明らかに湊への態度がぎこちなくなっている自覚があった。
(……私、嫌な女だな。湊は何にも悪くないのに)
自己嫌悪でふうっと深いため息をついた、その時だった。
背後から、不意に大きな体温が重なった。
「……っ、湊?」
私の腰に長い腕が回され、肩にすっぽりと彼の顎が乗せられる。
背中から伝わる彼の熱と、微かに香るウッディアンバーの落ち着く匂いに、身体がビクッと強張った。
「……凪」
耳元で囁かれた声は、ひどく真剣で、静かな熱を帯びていた。
「……なに? まだ洗い物、終わってないんだけど……」
「……こっち向いて」
彼が私の肩を掴み、強引に、けれど決して痛くない力で私を振り返らせた。
至近距離で、琥珀色の瞳が私を真っ直ぐに射抜く。
「……最近、おかしい。俺、凪を怒らせるようなことしたか?」
「え……」
「目も合わねぇし、触ろうとすると逃げるし。……俺、なんか無意識に傷つけること言ったなら、ちゃんと謝るから。……教えろよ……?」
彼の、本気で私を心配し、思い詰めたような顔を見た瞬間。
張り詰めていた私の心の糸が、プツン、と音を立てて切れた。