アンコールはリビングで
「待って、食べる前に。……今日くらいは、ね?」

私が冷蔵庫からよく冷えたシャンパンのハーフボトルを取り出し、二つのフルートグラスに注ぐと、シュワシュワと繊細な泡が立ち上った。

「……乾杯。4周年、おめでとう」

「乾杯。……いつも俺のそばにいてくれてサンキュ」

グラスを軽く合わせる。

琥珀色の瞳が、甘い熱を帯びて私を真っ直ぐに射抜いた。
その視線に少しだけ胸を高鳴らせながら、シャンパンを一口含む。

「いただきます」と手を合わせ、湊はまず、塩麹ソースのたっぷりかかったローストビーフを口に運んだ。
もぐもぐと咀嚼した瞬間、彼の目が驚きに大きく見開かれる。

「……うんまっ!」

「本当? よかった。お肉は低温調理でしっとりさせてるし、ソースの玉ねぎと塩麹が疲労回復に効くんだよ」

「マジで美味い。店で食うより絶対美味い。……つーか、このキッシュみたいなのもヤバいな。フレンチのコースみたいじゃん」

「豆乳を使って焼いてるから、カロリーは控えめだよ。野菜もいっぱい入ってるし」

湊は次々とおかずを口に運び、もち麦ご飯もあっという間に平らげて、「おかわり」と、空になったお洒落な平皿のプレートを差し出してきた。

その見事な食べっぷりに、作ってよかったと心から満たされる。

< 294 / 676 >

この作品をシェア

pagetop