アンコールはリビングで
「そうだよね。……でも、無理はしすぎないでね。湊が倒れたら、私……」

不安に駆られ、思わず言葉を濁して俯いた私。

すると、テーブルの上に置かれていた私の手に、彼の大きくて熱い手がふわりと重ねられた。
顔を上げると、湊がスッと目を細め、安心させるような、けれど絶対的な自信に満ちた笑みを浮かべていた。

「……倒れねぇよ。俺は、こうやって極上のメシ食わせて充電させてもらってる、世界一の特権階級だからな」

ニヤリと笑うその顔は、紛れもなく、私が世界で一番愛している『我儘で自信家なスター』の顔だった。

重ねられた手から伝わる確かな熱に、私の中の不安がスッと溶けていくのを感じた。

食後の甘いムースを堪能し、二人でキッチンに立って手早く食器を片付け終えた時のこと。

シンクを拭き上げる私の背中に、ふいに大きな体温がのしかかってきた。

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